「完全教祖マニュアル」という本があります。
「これを読めばあなたも教祖になれる!」と言う画期的な内容ですが、実際読んでみると実はお笑いの要素が満載のパロディー本で、読んだからと言って教祖になれるワケではありません。
ドラマ化され話題になった「LOVE理論」と同じように、洗脳や宗教を笑いとばす内容です。
でも、笑いながら読んでいるうちに、実は洗脳・ニセ宗教などのからくりが分かるようにできています。

「完全教祖マニュアル」を考察して、洗脳リテラシーを身につけ、自分を守ってください。

 

教祖マニュアルを読んで、洗脳・カルトから身を守ろう

 

 

教祖ビジネスはメリットばかりでデメリットなし

 

教祖マニュアルでは第一に、教祖になるのは簡単でしかもリスクがないと主張します。
たった一人でも、あなたの言葉を全面的に信じる人がいれば、その瞬間にあなたは教祖になれるというのです。
もし、詐欺ならば、あなたが言ったことがデタラメだと気がつかれると、法に触れて逮捕されます。
経営者だと、現実的な成果を残す必要があり、ときには非情な決断を迫られる場合もあります。
一方で、教祖の場合、現実的な結果を出す必要はありません。
占い師の予想が外れても、捕まらないのに似ています。ほんとにいいことずくめなんですね。

 

まず教義を作る

 

教祖マニュアルが教祖になるために、一番に掲げる課題が教義を作りです。
「文章力がないので、教義なんて作りません」
と、思うかも知れませんが、心配ご無用です。
そのときどきに適当なことを言っても、弟子がうまく文章にまとめてくれます。
キリスト、孔子、釈迦、老子……
世界の大宗教の経典でも教祖自身が執筆したものは1冊もないんですね。
みんな、教祖が言ったことをのちに弟子がまとめたものです。

 

神を作り出す

 

神を作り出すのに、「そもそも神はいるのか?」なんて、答えの出ない命題に取り組む必要はありません。
宗教で大切なのは正しさではなく、「人をハッピーにできるかどうか」だと言うのです。
もし神様がいるとすれば、どんなメリットがあるでしょうか?
たとえば、うまくいかなかった場合に、全部神様のせいにできます。
現実には努力しても、結果が出ないことも多いものです。
そんなときでも、「これも全て神の思し召しだ」と納得できれば、つらい現実そのものを受け入れることができます。
神様も現実のニーズに対応して、時代時代でその性質を変えています。
たとえば、ユダヤ教は厳しい戒律で有名ですが、時代の流れで、その戒律が守れなくなった時期に、戒律がゆるめのキリスト教が発生しました。
うまいネーミングが思いつかなかったら、ただ「神様」と言うだけでいいのです。
神様と言ったら、みんなが心の中で、自分の思い思いの神様を創造するからです。
万が一、上手に神様を設定できなかったとしても、問題ありません。
あなた自身が神様になるからです。

キリスト、孔子、釈迦、老子……生前は人間でしたが、死後はみんな神様に昇格しています。

 

既存の宗教のリメイクでオッケー

 

あなた自身が全ての世界観を作り出すとなると大変ですが、その必要はありません。
すでにある宗教をアレンジするだけでいいのです。
これまた、キリスト教も仏教も元々は、前からあった宗教をなぞっていました。
それがいつの間にか、独立した宗教に成長しました。
新興宗教では全ての要素をごった煮的な感じになっているものもあります。

そうすることで、より幅広い層を信者に取り込めることができるのです。

反社会的な教えを作る

 

宗教と言うと、「心を穏やかにする」「人と摩擦を起こさない」と言うイメージがありますが、それは誤解です。
多くの宗教や宗派が、成立した当初、迫害されたのは、体制側から見ると異端だったからです。
その時代の社会が抱える問題に根ざして発生するので、どうしても反社会的にならざるをえないのです。
逆に言うと、時代の不満をすくい上げたからこそ、巨大な宗教になれたと言えます。
となれば、新しい宗教を成立させるためには、
1.社会の基準で幸せになれない人をみつける
2.反社会的な基準を与えて、その人を幸せにする

以上の2点が必要です。
現代で言えば、「非リア」つまり、お金がない、仕事がいない、恋人がいない、友達がいない、人は社会に対して不満を持っています。
社会のものさしから見たら負けたしか思えない人たちに、新しいものさしを与えることで、彼らをハッピーにすることができるのです。

新しいものさしは、当然ながら社会とのものさしとは真逆の基準になります。
例えば、金持ち<貧乏、仕事あり<仕事なし、恋人・友達あり<恋人・友達なしのような

「貧乏、無職、ぼっちの方が、リア充よりも幸せだ」という価値観を提供すれば、非リアの人に幸せをもたらしたあなたに、たちまち大勢の崇拝者が集まってくるでしょう。

 

高度な哲学を構築する

 

さらに知的レベルの支持者を増やせば、教義は強固なものになります。
しかし、頭のいい人たちを納得させるのは指南の技です。
そこで、インテリ達の力を活用します。
あなたは、社会の問題点を口にして、社会を非難していれば、インテリが勝手にあなたの行動に前提と問題点を、論理的に補完してくれます。
かつてカリスマ的歌手だった尾崎豊は、社会の問題を厳しく訴える歌を作りりましたが、その具体的な解決策は示しませんでした。
彼のプライベートに大きな問題を抱えていたからです。
しかし、彼の死後、尾崎豊の崇拝者が、彼を神格化していきました。

 

まとめ

 

「完全教祖マニュアル」の中で教義を作りる方法を解説しました。
次回はそこから、多くの信者を集める方法を紹介します。