学者が書いた「不倫」の字がつく本は、専門家の見地から客観的に不倫を解説する内容です。
しかし、『不倫の心理学』の著者であるスウェーデンの心理学者アンジェラ・アオラは夫の不倫された上に離婚を経験。苦い経験を同じようにパートナーの不倫の悩む人々のために言語化した一冊です。本著ではアンジェラの体験と知見だけでなく2人の男女の不倫シタ側の事例が紹介されています。今回は女性ヴェラの不倫の顛末を紹介します。

 

 

「不倫の心理学」その1・シタ側女性アンジェラの場合

 

ワンオペ育児とセックスレスに嫌気がさして

 

ヴェラの夫マルクスはヴェラがスキンシップを求めても性欲モンスター扱いして拒否し、長年セックスレスが続いていました。ヴェラは自分はもう誰からも女性と見られていないと自信をなくしています。
さらに子育てもヴェラに任せっきりで、スキーリゾート地にでかけるときに息子が急病で緊急手術が必要になったときも着信を拒否し、そのままリゾート地に行ったまま連絡はありませんでした。この出来事がきっかけになりヴェラはマルクスとの関係に絶望しました。
しかし、子育てが真っ最中でいきなり離婚するつもりはありません。ヴェラは既婚者専用の出会い系サイトに登録し、割り切った関係の異性を物色します。条件はヴェラの性欲を満たすのに丁度いい人。見た目や性格が良すぎるとヴェラが本気で好きになってしまうリスクがあるのでNGです。向こうから恋愛を求めてガツガツしたり、生理的に合わない人は問題外。秘密を厳守してお互いに身体だけの関係が継続できる人を探します。
マルクスはヴェラが頻繁にスマホをいじるようになり不審がりましたが、ヴェラはスマホを2台用意して、出会いサイト専用のスマホは下着に隠して発覚することはありませんでした。数ヶ月をかけて男性を選別して、ついに一人の男性と肉体関係を結びます。ヴェラは夫マルクスの呪縛からやっと解放された気がしたのでした。

 

避妊具なしの行為で危険を感じる場合も

 

その後、ヴェラは複数の男性と同時進行で身体だけの関係を結びます。最低ルールである避妊具をつけないまま行為をしようとする男性もいました。あるときうっかり避妊具なしの行為を許してしまいます。イタリアのアマルフィ海岸の旅でマルクスとの関係が修復したときにセックスに誘われたときは、性感染の疑いをおそれて、その場をごまかし拒否するしかありませんでした。のちに陰性だと分かり胸をなでおろします。
複数の男性からアプローチされたことで、ヴェラはセルフイメージを回復。同時に多くの男性が女性を性のはけ口にしか考えていないことにうんざりし、男性選びをもっと慎重に行うことにしました。
それからマルクスに離婚を切り出しますが、離婚後マルクスはストーカー化し、ことあるごとに自宅に侵入してきます。
離婚後、交際した男性との関係も、マルクスとの結婚中に抱いた不満を取り除くものではありませんでした。ヴェラは長年住んだ家を売り、子ども達を連れて小さなアパートに引っ越しました。

マルクスなしでも生きていける自信を持ち、1つの結婚に縛られることはなくなっていました。