家族、会社、友人、他人の何気ない一言がグサッと胸に突き刺さって、いつまでも抜けない。
きつい言葉や態度が抜けなくて、頭の中でグルグル回ってしまう。
素直に相手の言葉を受け取る真面目な人ほど、他人の一言がついつい気になってしまいます。
夫婦間において、の離婚原因にも繋がっています。
そんな人のために作られた本が、みき いちたろう著『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』です。

 

 

【目から鱗】言葉には本当はたいした価値はない

 

「言霊」「はじめに言葉ありき?」「言葉が現実をつくる」など、私達は何かと言葉は大切だという考えを刷り込まれてきました。しかし、本書では言葉には本当にたいした価値がないと主張します。ですから他人に言われた「自分が優位に立つためのマウントをとるための言葉」「他人に因縁をつける言葉」は本の戯れ言に過ぎないというのです。

「言葉には現実を変える力がある」とよく言いますが、その言葉とは神の言葉であって、人が言ったどんな言葉でも真に受ける必要は全くないのです。

 

なぜ他人の言葉に振り回されるのか?

 

著者は他人の言葉に振り回されてしまう原因に「愛着不安」を挙げています。愛着は生後半年から1歳半までに形成されます。その間に親とのしっかりしたスキンシップや一貫した態度で接してもらえなかった子供は、充分な愛着が形成されず、愛着不安と呼ばれる状態になります。

愛着不安を抱えると、充足できていない愛着を他人の言葉で埋めようとします。相手の言葉が肯定的なものであれば問題ないのですが、否定的な言葉だと過度に気にするようになるのです。
他人の言葉に振り回されて生きた人は、人生の中で奪われてきた自分の言葉を取り戻すことが大切です。

 

【実践言葉のスルー】他人の言葉をやり過ごし、自分の文脈を意識する

 

前述の通り人間の言葉はとても雑味が多く信頼性が低いものです。ですから人間と言葉の実際を見る必要があります。たとえば上司から「お前は無能だ」と言われても、それは確定された事実ではありません。たった1人が自分の立場や因縁で押し切ろうとした言葉です。また他人の言葉は意図的に作られた事実になる場合もあります。上司があなたを無能と決めつけたら、本当に無能のレッテルを貼られてしまいます。

他人からの言葉をやり過ごすには、自分の文脈を意識すること、あなた自身の価値観や知識、考え方を確立することです。自分の価値観や考え方を見直すと、その中には「〇〇すべき」「〇〇すべからず」など、「他人の文脈」が内面化したものも含まれているはずです。
夫婦間においても、モラハラ・言葉の暴力などと受け止めるのではなく、このように受け止めることができれば離婚も減るのではないでしょうか。

他人の文脈から自分の文脈に再編集することは、悩みや生きづらさを解決する基盤になります。

本書のスルースキルを1つだけ紹介します。相手の機嫌を気にしたり、頭の中を覗きこまないように、自分の意識のBluetoothを切断するのです。意識のBluetoothの電波が複数の他人の頭へと伸びているとイメージして、1本1本切断していくのです。

「他人がどう考えているのか?」をずっと気にしている人は、寂しくてドライな感覚になるかもしれませんが、その状態が自他の区別がついた普通の状態なのです。