「不倫は心の殺人」と言われる通り、配偶者の裏切りは心に深い傷を残しますが、同じ災難に遭っても、心の切り替えて立ち直れる人もいれば、長い間引きずる人もいます。「その違いはどこにあるのか?」を深く考察した本が、コロンビア大学臨床心理学教授ジョージ・A・ボナーノ『トラウマとレジリエンス 「乗り越えた人たち」は何をしたのか』です。どうすればトラウマを乗り越えることができるのでしょうか?

 

 

レジリエンスを生むフレキシビリティ・マインドセットとは?

 

ボナーノ教授によると、大事故や大怪我などショックな出来事が起きた場合、心を回復するために以下の3つの要素が必要だと主張します。

・楽観性
・対処の自信
・チャレンジ志向

たとえば、「楽観性」ですが、同じ事故に遭ったとしても「大したことない」と事故の規模を過小評価する人の方が、事故の規模を過大評価する人よりも、事故後の立ち直りが早いという結果が出ています。
その半面、楽観的過ぎて事故に対してあまりにも無防備だと、事故後のショックが激しくて逆に立ち直れなくなるようです。

悲観的過ぎてもダメ、逆に楽観的過ぎてもダメ。「適切な状況において、適切な時に、適切な行動を取る」現実の状況に応じて、柔軟に考え方や行動を変えられる人が、立ち直ることができるのです。
たとえば足に大怪我をしたときに、楽観的に「きっと元通りになる」と信じていても、現実は厳しく足は元の通りには戻らない場合、「直る」と信じていた分ショックが激しくて余計辛くなります。そんな場合でも、足が元のようにならないのなら、ならないなりの対処法を探り出して、少しずつ現実的に前向きに行動すれば、八方塞がりだと思えた現実にも明るい兆しが見えてくるでしょう。
あくまでも元通りにすることはできない現実を受け入れた上で、できることを探って挑戦していくことが大事です。

普通の人では耐えられない苦境の中から立ち上がり、偉業を成し遂げた人がいます。その人の偉業は真似することができなくても、心構えだけは真似ができそうです。不倫や離婚などネガティブな出来事があっても、絶望してなげやりになってはいけません。

たとえパートナーに不倫されて、離婚しても、「人生おしまい」「ここから先は一歩もいいことがない」ワケではありません。離婚後は新しい生活をスタートさせ、軌道に乗せなければなりません。

「やらなければならないことばかりで、絶望している暇はない」と言ったところでしょうか。
それを、絶望ばかりに目を向けていると、本当に動けなくなります。
現実に目を向けて、頭と心を切り替えて、できることから一歩ずつスタートしていきましょう。