エリック・バーカー著『残酷すぎる人間法則』によると、幸福な結婚は寿命を延ばすのに対し、離婚は刑務所に入る以上のストレスになって病気になる確率が上がるのだとか。さらに酷いことに、未婚者、既婚者、離婚者含めた調査の結果、不幸な結婚生活をしている人が一番孤独なことが分かりました。つまり、結婚は丁半博打のようなもので、うまくいけば幸せ度がアップするけど、失敗すれば不幸が増すことに……こんな結果になったのもそもそも結婚という制度の成り立ちに原因があるようです。
結婚は生きのびるための手段でしかなかった
昔は結婚と愛とは関係がありませんでした。世界共通で封建制度だった時代は確実に家と家が決めた人と強制的に結婚していました歴史家のクーンツ曰く「結婚が政府や市場が担っている役割を結婚が果たしていた」。生きのびられたらラッキーぐらいな程度で、「そこに愛があるか」は全く考慮に入っていませんでした。当時の生活は厳しく個人の幸せを優先する余裕はなかったのです。夫婦間の恋愛は社会秩序を脅かすもので、禁じられていた時代もありました。領主の夫婦に子供ができなければ血族が絶えるので、側室を迎えるのが当たり前です。夫婦間が本当に愛し合っていたら一族は生き残れなくなります。
自由で平等になったがために結婚はより壊れやすくなった
欧米では1700年代に入って人権について論議されるようになり、デートという言葉が生まれたのは1890年代で、意外と最近になってからです。
1880年と1920年の間にアメリカでは離婚率が2倍になりました。しかし、第二次世界大戦と大戦後の好景気に湧いたアメリカも雇用が増加したせいか離婚率が低下。アメリカの長い歴史から見てもこの時期は特別な一過性のものでした。その後は1970年代に各州が無過失離婚を認め、性格の不一致だけで離婚が成立するようになりました。1980年代に入るとアメリカでは離婚率が50%に……2015年には同性婚を承認します。つまり、旧式な制度の呪縛から解き放たれれば、離れると同時に結婚が破綻する確率も増えていきます。
著者は結婚を、「すべての夢を叶えてくれて、最高の自分を引き出してくれて、成長する機会を与えてくれるもの」と過度に期待するようになったことが原因ではないかと指摘しています。人々は不幸だから離婚するのではなく、もっと幸せになれる可能性があるから離婚するというのです。
結婚するときには夢いっぱいですが、結婚を決意する前はもう一度じっくり冷静に考える必要がありかもしれませんね