五輪金メダリスト。そして東京五輪の柔道大躍進をもたらした監督の井上康生氏の不倫報道。評判が地に落ちるのは分かっているだろうに、なぜ地位も名誉もある人が不倫をするのか? 人間の不可解な行動を解明した本がダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」です。メンタリストDaiGo氏の愛読書として知られています。
この本によると人間の脳は常に2つのシステムが動いているといいます。
一体どういうことなのでしょうか?

 

なぜ理性的な人が不倫に溺れるのか?行動経済学で不倫の原因を探る

 

脳にはシステム1とシステム2が動いている

 

カーネマンは私達の脳には「早くて直感的に動く」ファストなシステム1、じっくり理性的に考えるシステム2が同時に作動していると言います。
脳の負荷を下げるために普段は、考えることなく直感的に判断するシステム1が動いています。日常的なルーティンではシステム1が担当します。
じっくり考えて行動するときには、スローなシステム2が担当します。
自由奔放に動こうとするシステム1をシステム2が理性的にコントロールしています。
ところが、咄嗟のとこでシステム2が働かなくなって、システム1の衝動に任せて行動した場合でも、「利用可能性ヒューリスティクス」と言われる、思い込みに囚われて、たとえ間違った判断をして、間違った行動をとったとしても、その行動を正当化する理屈を用意するというのです。
理性的なつもりでも、「人間はそんな理性中心に生きていない」ということのようです。

たとえば、配偶者のいない場で異性が現れ、理性を失い不倫したとします。システム1によって衝動的に不倫に陥ったとしても。ヒューリスティクスが作動して、「配偶者にバレなければ不倫はオッケー」「家族の幸せのためにも不倫はするべき」などと正当化するようになるというのです。

不倫が発覚したときのシタ夫・シタ妻の言い分はあまりアテにならないと言えそうです。

 

ファスト&スロー理論から見た不倫しそうな人物は?

 

地位や名誉があろうがなかろうが、日常生活ではシステム2がうまく作動しない人は、まわりの人、特に配偶者の迷惑なのは間違いありません。

一見、真面目で職場や家庭での役割をきちんと果たしている人でも、抑制する部分・システム2が壊れている人は不倫する可能性が高いといえそうです。

マスコミにはとかくスポーツ選手や芸能人などの不倫が取り上げられますが、飛び抜けた成果を出す人は、理性の枠組みを超えた努力・パフォーマンスを行います。

基本的にシステム2が外れやすい状況にあるのかもしれませんね。