大坂なおみ選手、犯罪被害者がマスコミに登場する度にひどいバッシング。
ますます加熱していますが、2021年5月にネットバッシングを苦にして自殺した木村花さんに誹謗中傷をしたアカウントを特定した7つのうち5つは立件が見送られ、書類送検した2件の科料はわずか9,000円。
人に「死ね」という誹謗中傷をしておきながら、あまりにも軽い罪です。

山口真一著「正義を振りかざす『極端な人』の正体」をヒントに誹謗中傷を止める方法を考察します。

 

ネットの誹謗中傷の対処法と加害者にならないための心得

 

ネットでは極端な意見がはびこる理由

 

ネットの中でも現実社会と同じように、発信者を表立って応援する人が少しで、応援も批難もしない人が大半です。
応援も批難もしない人はSNSでも見るだけで、何もコメントしません。ひどい批難や誹謗中傷があるようなSNSやサイトはすぐに離脱します。
そこで、残るのは少ない応援者と極端な意見を言う人です。
残った極端な人は
1.極端な人はとにかく発信する
2.ネット自身が極端な人を生み出す
3.非対面だと攻撃してしまう
4.攻撃的で極端な意見ほど拡散される
ポジティブな意見や普通の意見は目立たずに埋もれてしまい、どぎつい意見は目立っていき、それがさらに拡散を生んで、どんどん極端な意見が尖って広まってしまうようです。
そして、さらに既存のメディア、テレビ、ラジオ、雑誌などがネットで起きた事件を広げて
それがさらにネットニュースへ行き、またSNSで広がって、今まででは考えられないほど規模で情報が広がっていくようです。

 

極端な人の正体

 

極端な発言をする人を追跡調査すると、実は平均所得より高く、40代から50代からの中間管理職以上で、言わば出世していて地位や収入も安定している人だと分かりました。
バッシングをする人は、収入も少なく、仕事も評価されず、時間だけはあるいわゆる「非リア」の人かと想像しやすいですが、全く真逆でした。1番働き盛りで、ネガティブな発言なんかしている暇がなさそうですが、SNSだと隙間時間に気軽に発信できるので簡単に「極端な人」になりそうです。

 

犯罪被害者をもバッシングする「公正世界信念」とは?

 

犯罪被害者やその家族、または被害者を擁護する発言をする人に対してもひどいバッシングが行われるのはどうしてなぜでしょうか?
木村花さんの件でもそうですがバッシングしてもほとんどが罪に問われず、罪になっても軽罰ですむので加害者側はほぼ無傷ですみます。
社会学者メルビン・ラーナーが唱えた「公正世界信念」は、世の中は正しいものが報われて、正しくないものはそれなりの報いを受けているというバイアス=思い込みです。
「被害者は今まで、被害を受けてもしょうがないくらいに、悪いことかおいしい思いをしているので、被害を受けてもしかたがない」
という無意気の思い込みが、被害者に共感し、後押しするどころか攻撃しようとする気持ちになるようです。
バッシングはしないまでも、政府や上級国民という人の犯罪を訴える被害者がメディアに出たときに、「まだやっているのか。どうせ報われるワケないのに」と鬱陶しく感じてしまうのは、どんな人の中にも「公正世界信念」が少なからずあるからなのかもしれません。

 

ネットでの発言のいいことも悪いことも気にとめない

 

隣近所にいる人とのコミュニケーションが希薄になった現代、分からないことがあったらネットで検索し、質問を掲示板に投げかけたら親切な人が適切な答えが返ってきます。
顔も名前も知らない人からの善意に助けられる場合もあります。
大坂なおみさんや木村花さんのような有名人じゃなくても、ネットで発言をしていたら、共感してくれたり、応援のメッセージをもらったりするでしょう。
SNSで元気をもらえている人も多いのです。
その反面、顔も名前も知らない人から遠距離で石を投げられることもあります。
その石が時には銃弾のように心の弱い部分を撃ち抜いてしまうことも……
SNSは諸刃の剣です。
連絡・告知だけのツールと割り切って利用して、心の中にまでSNSを入れない方がいいようです。

 

自分も極端な正義を振りかざす人にならないために

 

「正義を振りかざす『極端な人』の正体」では、極端な人にならないための5ヶ条を掲げています。

1.情報の偏りを知る
2.自分の「正義感」に敏感になる
3.自分を客観的に見る
4.情報から1度距離をとってみる
5.他者を尊重する

極端な人の実態を見てみると、自分が努力してある程度の地位を得ているので、自分の発言に自信がある。
しかしながら、時間がないので、ネットで上がった表面の情報ばかりを信じ込んで、情報の真偽や深いところまで調べる余裕がない。
誤った情報を信じ込み、間違った正義感で極端な発言や批難につながるようです。
誤った発言に巻き込まれない、また誤った発言をする立場にならないように、情報を鵜呑みにしないで情報の真偽を確かめる冷静さが必要なようです。