2020年6月タレントの熊田陽子さんが夫との離婚の決意を発表しました。
5月に夫が熊田さんに対する暴行容疑で警察に逮捕された件を全て事実だと認めました。
一方、一部週刊誌では熊田さんが不倫をしていたのを夫が嗅ぎつけてDVに至ったと報道されていました。
真偽のほどは確かではありませんが、近年では大企業の経営者でもDVで逮捕されています。数年前ではDVで逮捕はありませんでした。最近のDV事情を考察します。
DVに警察が介入するようになった
かつては家庭内の暴力は民事不介入で警察が関与しないのが通例でしたが、平成13年に施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」いわゆるDV法が施行されました。
配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を目的とされています。
とは言うものの、実際にDV法でできることとは
「保護命令」裁判所が被害者の申し立てで、配偶者を近づけさせないよいように命令するものです。
・被害者との接近禁止命令
・退去命令
・子への接近禁止命令
・親族等への接近禁止命令
・電話等禁止命令
つまり、同居している場合は2ヶ月間住まいから出ていくことを命じ、被害者や子供や家族に近づくことと電話することを禁じるものです。
そして、保護命令に従わなかった場合は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金になります。
逆上して何をするか分からない加害者に対して、この罰則はあまりにも軽すぎます。
配偶者がストーカー化して、実際に殺人などの重大事件に発展した状況をふまえて、最近では積極的に警察が介入して、配偶者を逮捕する事例が増えてきました。
DVを受けているのは女性だけではない!
警視庁の生活安全総務課にはストーカー対策室があり、DVの相談を受け付けています。
ちなみに平成2年のレポートでは、相談の8割が女性で、2割が男性です。
少ないですが男性もDVの被害を受けているのです。
男性は悩みを人に打ち明けにくい傾向があり、ましてや妻からの暴力に悩んでいるとは人に言いにくいものです。実際にはもっとたくさんの人が妻からDVを受けていると推測されます。
DVを逆手にとっての離婚工作も
真偽のほどは分かりませんが、一部報道によると熊田さんは夫から不倫を疑われていました。
深夜までの長電話。
仕事の予定がないのに子供を実家に預けて急に出かける。
手帳のランチの予定にハートマークがあって、テレビの番組名があった。
そこから夫はテレビ局の社員と不倫をしていると推測していたようです。
ベッドにいた熊田さんの布団を跳ね上げたときに、手が熊田さんの顔に当たって、警察に通報されたといいます。
これは夫側の言い分になりますが、実際に妻の方が不倫をしていて、自分の有利に離婚をすすめるためにDVを装うケースも少なくありません。
配偶者の浮気の兆候を知るのが早いのは圧倒的に女性です。
逆に男性は気がつくのが遅く、気がついたときには妻はどっぷり深みにはまっている場合が多いのです。その上、夫は妻の浮気を信じたくないという気持ちもあり、真実を見極めるのを遠ざける心理が働きます。
妻が夫と離婚したい場合は、かつては「別れさせ屋」に依頼してハニートラップを仕掛けるという手口があります。
しかし、これはあきらかに違法であり、高い料金を払っても失敗する場合もあります。
その点、夫をわざと怒らせるように仕向けて、ちょっと身体でも触られて、通報したら即逮捕されます。
完全に法定離婚原因になるので、離婚は夫の原因となり、慰謝料も請求できます。
逆にDV容疑をかけられる側は常に、訴えられないように注意が必要です。
しかし、そこまでの関係になった夫婦にいずれにせよ未来はないでしょうが……
DVを許してしまうと麻痺がおこる
豊田正義著「DV――殴らずにはいられない男たち」ではDVの渦中にある夫婦の内情が描かれていました。
元々は1度でも暴力をふるったら別れると言っていた妻ですが、夫の暴力が次第にエスカレートしてくると次第に、少々のことでは感じなくなっていきました。加害者も被害者も麻痺していくようです。困ったことにふるった方が激しく落ち込むことです。すると妻が夫を慰めるようになりました。落ち込まれると、また暴力が激しくなるので、慰める以外になかったそうです。すると夫は立ち直って明るくなり、妻の方も一時的に気持ちが楽になります。その繰り返しのうちに段々と暴力がエスカレートして、最終的には首を絞める包丁を持ち出すなど死に至るほどになります。殺されるかもしれない恐怖を妻は味わいながら、別れを決意できませんでした。なぜなら離婚すれば、夫は落ち込んで自殺すると確信していたからです。実際夫は自殺未遂を企てたこともありました。
妻が実家に帰ったときに夫のDVが発覚し、実家に戻ったまま、夫から引き離されて離婚が成立しました。
物理的な距離が生まれたことで、やっと夫を客観的な目で見ることができました。しかし、夫の暴力がトラウマになり安定剤お睡眠導入剤が手放せない状態です。
DVはあってはならない事ですが、DVもどきがあって、その見極めが必要です。