不倫の調査を依頼するのはサレた方、いわゆるサレ妻、サレ夫です。
夫、妻の不倫の証拠を発見できないまま時間が経った、不倫がバレたのに清算しない。
そのままだとどういうことになるでしょう。
不倫相手の方が行動を起こすかもしれません。
日野いつみ著「不倫のリーガル・レッスン」を参考にして、不倫相手が起こす行動を法律的な観点から考察します。
不倫相手が夫や妻との離婚を迫る!
「妻とはいずれ別れるつもりだ」と言って交際を迫ったのに、いつまで経っても離婚する様子はないけど、関係だけはズルズル続いている。
「本気で結婚したい」と思っている不倫相手にしてみれば、どうにかして法律的手段を使って強制的に妻と離婚させる方法はないか? と考えるのも無理もないかもしれません。
しかし、夫婦関係はあくまでも当人同士の問題です。
結婚や離婚といった法律行為は「身分行為」といい、他人が裁判を通じて強制できる性質ではなく、強制執行もできないのです。
刃物で脅して離婚届にサインさせたら、強要罪。
勝手に離婚届を作成して無断で役所に提出すれば、有印私文書偽造罪と、公正証書原本不実記載罪になります。
誰かに離婚を強いるというは不可能です。
まずは別居から……外堀から埋める
離婚が無理ならば、別居をさせて一緒に住むことを提案します。
配偶者と別居して不倫相手と同居をはじめれば、別居期間が長ければ長いほど、裁判や調停で、夫婦関係が破綻しており、離婚が認められる要素が強くなります。
さらに不倫相手との同居が長くなれば、重複的内縁関係が成立し、出産手当、健康保険の給付金も出る可能性があります。
離婚調停と離婚裁判とで2年も解決します。
もしこのまま離婚が成立した場合、
別れた妻が夫に請求できる慰謝料は500万円から300万円。
不倫相手の女性に請求できる慰謝料はその半分の300万円から150万円くらいが相場です。
サレ妻が婚姻費用請求しても大した額は請求できない
夫が不倫相手と同居をはじめたら、妻は婚姻費用の請求を家庭裁判所に起こすことができます。
しかし、まだ離婚していないので、夫は2つの家庭の費用を支払わなければなりません。
これは判例によって判断がまちまちです。
「2つの家庭を持ったのは自分の落ち度なんだから」と収入的配慮を考えないで、請求金額を全額払う判例と、夫の収入と生活を考えて、妻への婚姻費用の請求額を減額する判例とが混在しています。
妻側としても、あまりきつく請求しても、夫も無い袖は振れないので、甘んじて受け入れざるをえないかもしれないですね。
不倫相手が夫との子供を出産! 子供を認知する
不倫関係なのに、避妊をしていなければ当然妊娠する可能性があります。
子供ができた場合は非嫡出子となります。
子供の母親と法律上の婚姻関係にない男性が、子供との間に法律上の父子関係を発生させるためには、子供を認知する必要があります。
法律上の親子関係が発生すると、扶養義務や相続権など重要な法律上の関係が発生します。
重大問題になってきました。
不倫をするどころか、避妊もしないで子供を作ってしまうとは……
ここまでされて、夫婦関係を維持する理由があるでしょうか?
よっぽど、夫のことを愛しているか、それとも、夫のマイナスを補うすごい資産でもあるとか……
男性が認知をすると、子供との間に法律上の父子関係が生じ、その効果は出生時にまでさかのぼります。
認知後は過去の出生時までさかのぼって、過去の養育費の請求が可能になります
男性が子供を認知すると戸籍にその旨が記載されます。
家族に認知することが露見する可能性が高くなり、それを恐れて認知を躊躇する場合も多いのです。
認知することに期間制限はありません。
しかし、胎児のときの認知は母親の承諾を必要とし、
成年後に認知するためには本人の承諾が必要です。
夫の死亡後に認知をした子供が発覚することも……
認知は遺言でも効力を発揮します。
前述の通り、生前に認知した場合は戸籍に証拠が残るので認知が発覚します。
だから、遺言に残しておくと、選ばれた遺言執行者によって、本人の死後認知手続きができます。
夫の死後隠し子がいたと発覚すると、ショックです。
財産相続も変わってきますし、死後に揉め事は残してほしくないものです。
夫が認知に応じない場合は強制認知も……
夫が認知に応じない場合は、「強制認知」を行えます。
女性の方から裁判所に認知を請求するのです。
訴えが認められるためには、子供と男性との間に血縁上の親子関係を証明する必要があります。
DNA鑑定ができますが、夫が協力に応じなければ証明は難しくなります。
しかし、懐胎当時に内縁関係にあった場合は夫の子供と認定されるので、内縁関係の事実を証明すると認知が認められます。
まとめ
平成25年の法律の改正で非嫡出子でも相続の割合は他の子供たちと平等になりました。
子供に罪はないので、相続は平等にしなければならない。
そういう後々のトラブルの火種を作らないためにも、不倫の芽は早めに発見して潰すのが鉄則です。