「完全教祖マニュアル」という本から、教祖になるステップ。
教義を作って、一般大衆に馴染むように、シンプルに分かりやすく調整して、いよいよ直接信者に呼びかけ、宗教に勧誘していきます。
その勧誘の裏側の仕組みを見ていると、意外と単純。
まるで手品の仕掛けを見ているような感覚になります。
それと言うのも、人間はもともと心の底に「信じたい気持ち」があるからです。
言い換えれば、自分から騙されにいく性質があるのです。
信じたい気持ちを抑えて、冷静にカルト・洗脳・霊感商法に立ち向かいましょう。
信者を離脱させない手法
どんなにありがたいお話でも、時間が経つにつれてその感動は薄れていき、最終的には忘れます。
そうなると、宗教活動に不熱心になり、あげくのはてには他の宗教に鞍替えされてしまいます。
ビジネスでも、顧客を獲得することも大事ですが、顧客を維持する活動も同じように大切です。
宗教の信者も同じで、離脱者が少ないと、躍起になって新しい信者獲得しなくてもよくなります。
では、信者を繋ぎ止めるためにはどうすればいいのでしょうか?
重要なことは、あなたの宗教を信者の日常に定着させることです。
信者の思想や生活をすっかり、あなたの宗教に染めることで、信者はあなたの教えから逃れられなくなります。
摩訶不思議な力を信じさせる
日本人は無宗派が多いですが、潜在的には目に見えない神秘的なことを信じている人は多いです。
頭の中に神様や仏様のイメージはないにしても、緊急のときや、試験のときなど、神頼みした経験は誰しもあるでしょう。
雑誌やテレビの占いは、いつの時代でも人気です。
また、誰でも暗がりで1人でいるときに、背中がゾクゾクしたり、何やら気配を感じたりした経験の1つや2つはあります。
気のせいだと片付けてしまえばそれまでです。
しかし、人の言葉を信じやすい、影響されやすい人が、なぜか言葉に説得力がある人から、
「霊がついている」「狐狸妖怪の仕業」「星回り」「方角が悪い」などと、アドバイスされると、コロッと信じてしまいがちです。
人は目に見えない現象に説明がつかないと、落ち着かない、フワフワした気持ちになります。
誰かがその神秘に「霊」なり「鬼門」なりの、理屈をつけてもらうと安心します。
もし、あなたがその安心させてくれた人になると、あなたの信者に喜んでなるでしょう。
とくに、人生の中で思わぬトラブルに直面している人は、心が弱っていて、「誰でもいいから話を聞いてもらいたい」「何にでもいいからすがりたい」気持ちがまんまんです。
ちなみに「教祖マニュアル」では、仏教は霊魂の存在していると主張しています。
「ちょっと待って! じゃあ、葬式やらお盆やらお墓参りってなんなん?」と、思うかもしれません。
お釈迦様が設立した仏教は、スリランカやミャンマーで行われている原始仏教に近く、偶像も霊魂も信じていません。
現在、日本でも浸透しつつあるマインドフルネス瞑想のような体系になっています。
不安を煽る
摩訶不思議な力を信じさせて信者になった人は、当人が現在トラブルの中におり、不安だったので、すんなりと信者にすることができました。
では、現在何の悩みも不安も抱えていない人は、どうやって信者にしていけばいいのでしょうか?
そこで、悩みのない人には不安を煽ります。
キリスト教では原罪があり、仏教では仏道修行を行わないと、解脱できず、永遠に生まれ変わりを何度も繰り返すと説かれています。
何不自由なく幸せに暮らせている場合でも、「この幸せがいつまで続くか分からない」とまだ来ない未来に対して不安に思ったり、「こんなに幸せでいいのだろうか?」と別に悪いこともしてないのに罪悪感を抱いたりします。
そんなときに、上手に幸せな人に今現実に起きていない不安を、心に植え付けさせると、案外簡単に信者を獲得することができます。
なによりこの手の人は裕福な人が多く、少々高いお布施をしても、貧しくなる心配はありません。
信者の方も、恵まれ過ぎている罪悪感を信仰によって、消すことができます。
救済を与える
不安を与えるだけでは、救いがないので、最終的に救済を作って、信者達に安らぎを与えます。
キリスト教なら天国へ行ける。仏教なら悟りを開くなど、それぞれの救いが必要です。
心理学の「吊り橋効果」のように、不安を一旦煽っておきながら救いがあるので、苦しみから救ってくれたのがあなたの宗教と解釈され、いよいよ、あなたの宗教から離れられなくなります。
まとめ
今回は「完全教祖マニュアル」から信者を勧誘する心理的テクニックを中心にお伝えしました。
洗脳、霊感商法は、誰もが持っている心の隙をついて、狙っているのが分かりますね。
つけこまれないように重々注意することと、神秘的なものに頼らない心の安定のさせかたを持っていた方が、怪しいものに振り回されなくて済みそうです。
コロナ禍で、国民の多くが不安と苦悩の中にいる今こそ、心をしっかり持つことが大事ですね。