誰でも簡単に教祖になれると詠った「完全教祖マニュアル」。
誤解を招きがちですが、この本はパロディー本なので、教祖にもなれませんし、害もありません。
もし、この本の影響でカルト教団ができていた発禁処分になっていたでしょう。
最近、ベストセラーになった「サピエンス全史」では、我々のご先祖・ホモサピエンスは他の類人猿と比べても、頭脳も身体もそんなに強くなかったようです。
そんな、低レベルな類人猿がなぜ唯一生き残った類人猿になり得たのか?
その秘密が架空の物語でも信じてしまうことでした。
他の類人猿は現実主義のために、絶対に死んでしまうだろうとという場所は行動には絶対に手を出しませんでした。
一方、サピエンスの方は「そこ行ったら死ぬよ」という危険な場所でも、神の命令なら、命を捨ててでも踏み込んで行きました。
平常時は他の類人猿の天下でした。
ところが、地球上では周期的に、イレギュラーな出来事が発生すると、サピエンスは生き残りました。
災害や突発的なアクシデントが発生する度に、他の類人猿は滅んで行ったのに対し、
常識外れな行動をとる者がいるサピエンスは全滅を免れ、生き残ることができました。
つまり、サピエンスが地上に生まれた時から、ずっと嘘、フィクション、神、騙しはつきものだったたと言うこと。
それは文明を発展させると共に、常に人は誰かから騙される可能性があるということを示唆しています。
前回は宗教の教義作りを解説しました。ビジネスに当てはめると、教義は言わば商品です。
今回は、実際の信者作り、布教活動に入って行きます。
ビジネスだと、ようやく商品を持って営業活動をする段階です。
教義をより庶民にわかりやすく
熱心な信者の人でも、経典や聖書を全部理解している人は少ないでしょう。
いくら立派な教えでも、一般の人が理解できなければ、多くの信者を獲得することはできません。
大ヒット商品にも、インパクトのあるロゴ、キャッチフレーズがあるように、一瞬で大衆に届くわかりやすさが必要不可欠です。
たとえば、仏教なら「南無阿弥陀仏」や、「何妙法蓮華経」と唱えるだけで来世で極楽に行けるという宗派もありました。
キリスト教なら、十字を切ってアーメンと祈る。
また、仏陀やキリストも、難しい教えも一般の人にも分かるように、たとえ話を使って伝えました。
あくまで、理屈が通っているかどうかよりも信者がハッピーになれるかが基準なので、
現世利益=この世の望みが叶うという謳い文句にすることが大事です。
・お金が儲かる
・いい人と出会える
・いい仕事にありつける
・病気がなおる
と言っても、「そんな能力、俺は持ってないよ」と言うかもしれません。
でも、別に特殊能力は必要がないのです。
なぜなら、歴代の大宗教家も全てプラシーボ効果や暗示を利用していたと考えられるからです。
病気や治療の場合、手を当てたり、かざしたりするとには本来、何の効果がないとしても、当てられた当人が手の力を信じることによって、本当に治ったりする場合があります。
また、特定の何かを信じる人と、何も信じてない人では、その行動力がやはり違ってくるでしょう。
もし、10人のうち1人しか、効果がなかったとしても、その1人を成功事例として扱えば、その人は信仰心が厚いから成功したことになり、失敗した人はまだ信仰心が薄いということになります。
実際に、自己啓発セミナーや会員制サロンビジネスは、一部の成功した人を取り上げていますが、
うまくいくケースは限られています。
効果があった人ばかりを取り上げているので、「自分でもうまくいくかも……」と期待をあおることができるのです。
テレビ通販の美容・健康のコマーシャルの手法に似ていますね。
「教祖マニュアル」では、来世には極楽に行けるとか、転生したら無双になるなどの来世での幸せを約束する教義も、現世利益の範疇に入ると主張しています。
なぜなら、死後のことなんて、生きている人間は誰一人分からないからです。
「来世では極楽」と信じるのも、また生きている人間なので、現世利益というワケです。
さらに、究極は信者がこぞって崇める偶像を作り上げるのがベストです。
各宗教でそれぞれ、崇める像やオブジェがあります。
目に見えたり、形があって触れられたりする方がより、信憑性が高まるというワケです。
葬式も結婚式も取り扱う
冠婚葬祭は宗教が取り持つのが当たり前ですが、実はもともとは葬式、結婚式は扱っていなかったようです。
人の生死や節目に宗教が寄り添うと、より人との結びつきが強くなります。
まとめ
今回は「完全教祖マニュアル」の紹介の第2回目で、教義を作った後により一般大衆に響くように分かりやすく単純化するまでを紹介しました。
次回は、実際に信者を宗教に引き込むためのテクニックを紹介します。
もしかしたら、聞いたことのある洗脳・カルト。霊感商法の手口が出てくるかもしれません。
騙す方の手の内を知って、ピンと来たら、上手に避けるように心がけましょう。